凍土壁に対する怒り
久しぶりに猛烈に怒りを感じていることがある。
それは福島の原発事故関連で、凍土壁のことである。昨日の報道で、凍土壁について全部が凍らず、想定していた効果は認められない見込みであることが発表された。あまり、大きな記事にはなっていなかったので、注目もされなかったが、怒りを感じているのはこのことである。
この凍土壁の事業は、要するに地中まで含めて事故を起こした原子炉建物の陸側の土を凍らせ、地下水を遮蔽しようというものである。大量の地下水が流入し、これが汚染水となってその処理に大変な費用を要し、そして膨大なタンクが次々と作られているので、その必要性と狙いは理解する。しかし、問題はそもそもの成功可能性とそこに潜む無責任体質である。
実は、凍土壁プロジェクトが進行する3年前の段階で、実は非常に難しいにもかかわらず無責任に進められようとしていることを私は聞いており、環境政務官として原発事故にも関わる中、3役会議をはじめ何度も担当者(環境省ではない)を問い詰め、中止するように申し入れていた。しかし、結果として事業は強行され、案の定うまくいっていないのである。だから、うまくいっていないという報道を見れば、やっぱりだと思うし、担当官や関係者のその時の説明についてビデオで再生したいくらいである。
なぜ、私がその時点でやめさせようとし、今怒りを感じているか。それは国民の税金と費用が無駄にされているからである。この凍土壁プロジェクトには国民の税金が320億円も投入されている。私は、事前に担当官に言った。あなたは自分のお金なら1000円だって無駄な費用を使おうとしないでしょう。なのに、国民の税金なら人のお金だということで、何百億円も平然と使うし、仮に失敗だとしてもどうせ異動し、誰も責任を取らないのではないですか、と。その時はそんなことはありません、と言っていたが、結果はその通りになりつつある。仮に、成功したとしても凍土を続けるための電気代等は年間10億円も要し、これは庶民の電気代として負荷される。電気をつくるための原発の事故だったのに、膨大な電気を必要とするプロジェクトは皮肉ですらある。
その時に、カナダの鉱山で成功した事例があると説明を受けた際にも、そもそも何もしなくても凍土になっているような極寒地であり、繊細な管がたくさん通っている今回の事例とは比較にならない、と申し上げたが未だにその説明が平然とウェブにも掲載されている。最初の段階で、ドレインの凍土ですら失敗したのだから、真摯に反省して慎重にすべきだったではないか。
どうせ税金だし、失敗しても誰も責任を取らない。逆に何の対策も言わないほうが責任を問われる。だから300億円かかるけどまあいいか。技術開発にもつながるしね。こんな雰囲気を当時から感じたが、今はどうなのか。この無責任体質がなくならない限り、財政再建なんかは絶対にできない。民間ではあり得ない感覚である。
コメント(2)
山野
山野と申します。
有難う御座います。
正直、自民党、党首、取り巻きにうんざり、憤るばかりの毎日でした。
牧野様の真摯な気持ちがとても有難いです。
原発の後処理、他での稼働の停止を強く願います。
アベノミクスは一部の企業にしか恩恵はないと言ってもよいくらい国民の生活はよくないです‼︎
汗水たらして働いた税金!
ザックリでも、使用の用途を国民に提示して欲しいと何時も思います。
本来の有るべき自民党の復活を強く願います。
お身体ご自愛の上ご活躍下さい。
A. Kojima
いつも国家のために多大なるご尽力を頂き、 心より感謝申し上げます。
ブログと関係の無い内容で申し訳ございません。
この度は、「山、鉾、屋台行事」の世界文化遺産登録を大変喜ばしく思うと同時に、これも政府のお力の賜物と重ねて感謝申し上げます。
僭越ながらご提案がございます。
世界最長と申しても良い歴史と伝統を誇る日本の皇室を世界文化遺産にご登録頂けないものかと考えます。
長い歴史を持ち、文化、環境保護、和の精神において世界の先端であった日本の根本である皇室の存在意義は、これからの国際社会において更に重要であり、世界的な認証と保護がより確かなものにされて然るべきと考えます。
ご多忙と拝察致しますが、来る東京オリンピックに向けてご検討頂ければ幸甚でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。